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パーウィニー・サマッカブット インタビュー

Q: 10日間のリハーサルに参加してどうだった?

演出家の岡田さんが自身の脳内で考えていることを実現するためのある種の実験だったと思う。岡田さんがこの実験で受けたインスピレーションをどのように消化するのか、その結果、台本が小説通りになるのか、はたまたオリジナルなものになるのかをとても知りたいです。性的な欲望と政治という2つのテーマが混ざり合う本作が、演出家にはどう見えているのか気になります。

Q: 小説を読んでどう思った?

セックスと人間関係が重なり合うところがおもしろいと思いました。また、これらのことを通して政治的な視点をも示唆しているように感じます。登場人物たちは、政治的なことについて話しているわけではありませんが、彼らの力関係は、人と人との間にある力についてを示唆しています。例えば、登場人物のナームとカオシンについて。カオシンは、階級の異なる相手をコントロールすることで自分の存在感を高めようとします。また、ラックチャオは、人生のある時期に誰かと一緒になることを選ぶ女性の生き方を表していて、それは、充実してるように見えるし、なにか力強いものを求めているような気もします。

Q: Democrazy Theatre(Aeは共同創設者)という組織・集団のコンセプトについて教えてください

Demozrazy Theatre設立当初、タイにおいてパフォーミングアーツを見るのは特別な機会、という認識が一般的だったので、私たちは、パフォーミングアーツを、日常的にアクセスできるものに変えたいと考えていました。3、4年活動を続け、それがある程度実現できてから、今度は、作品のクオリティを向上させるために、いまの時代における作品創りやプロデュースのあり方の限界を超える試みをしてきました。そして、今、私たちと同じ課題を持ちながら活動している「集団」が多くあります。それは、自分たちの活動をどう持続するか、またフルタイムアーティストを生み出すにはどうすれば良いかということ。これらの課題が、タイの舞台芸術やアーティスト育成の発展の遅れの原因になっていると考えています。そのためには、アウトプットではなく創作のプロセスも重要です。クリエーションに十分時間が取れなければ良い作品を生み出せないし、人も育たない。時間をどう確保するかが目下の優先課題です。

プロフィール

パーウィニー・サマッカブット

タマサート大学演劇学科、チュラロンコーン大学スピーチ・コミュニケーション&パフォーミング・アーツ学科卒業。劇団「Democrazy Theatre Studio」共同創設者であり、俳優、照明デザイン、プロデュースを務め、新世代の演劇人や観客創出に尽力している。Adjima Na Pattalung, Nikorn Saetang, Pradit Prasartthong, Wichaya Artamart、平田オリザ、矢内原美邦など多くの演出家の作品に俳優として参加、高い評価を得ている。バンコク国際児童演劇祭2016、2018のオーガナイズを担当。

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